ニュース

エアコンの誤った使用で出火!? 安全に使うためのポイント

外火によりエアコン室外機が燃える様子(イメージ)

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は6月10日、ルームエアコンの事故事例を発表した。これと併せて、試運転前の注意点と試運転時の確認ポイントを紹介している。

エアコンの事故は、2020年度~2024年度の5年間に合計約360件あり、設置状況の不備や取扱説明書で禁止されている行為などによる事故も多いという。このことからNITEは、事故の未然防止や肝心な時にエアコンが使用できなくなることがないよう、早めのエアコン試運転を勧めている。

【事故事例1】延長コードを使用したことによる火災

エアコン室内機及び周辺を焼損する火災が発生した。

エアコンの電源プラグを延長コードに接続した状態で使用していたことから、延長コードのコードコネクターボティ内部で異常発熱した可能性が考えられる。また、エアコン側に出火の痕跡は認められないことから、外部からの延焼によりエアコンが焼損した事故と考えられる。なお、エアコンの電源コードのラベルには、「コードには中間接続・延長禁止」の旨が記載されていた。

テーブルタップを介したエアコン使用による火災(再現試験)

【事故事例2】電源コードの継ぎ足し接続による火災

エアコン室内機付近から出火し、周辺を焼損した。

これは電源コードを途中で切断し、継ぎ足し接続(ねじり接続)したため、接続部で接触不良が生じて異常発熱し、焼損したものと考えられる。

電源コードの継ぎ足し接続部の接触不良による火災(再現実験)

【事故事例3】エアコン室外機から火災

エアコン室外機及び周辺を焼損する火災が発生し、4名が軽傷を負った。

エアコンの電源プラグはコンセントに接続されていたが、事故当時エアコンは使用されていなかった。また、室外機が設置されていたベランダには、段ボール箱に入った家電、折りたたみ自転車等が置かれていた。エアコンの電気部品に出火の痕跡は認められないことから、室外機周囲に置かれた可燃物からの延焼による火災と考えられる。

エアコン試運転前と試運転時の確認ポイント

上記のような事故を防ぐために、NITEではエアコン試運転前及び試運転時の確認ポイントを紹介している。

●電源プラグは延長コード等を介さず、エアコン専用コンセントに差しているか

エアコン専用に設置されているコンセントに電源プラグを差し込む。エアコンは電源を入れた瞬間に大電流が流れる場合があるため、延長コードやテーブルタップなどを用いると異常発熱し、発煙・発火するおそれがある。

電源プラグはエアコン専用コンセントに差す

●電源プラグや室内機のフィルターにほこりがたまっていないか

電源プラグは、コンセントとの間に隙間が生じないようにしっかりと差し込み、定期的に掃除してほこりを取り除く。隙間がある状態で差したままにすると、隙間にほこりがたまって表面に水分が付着する等によってトラッキング現象が生じるおそれがあり、特に夏場は湿度が高くなるため注意が必要。なお、掃除の際は必ずコンセントから電源プラグを抜いて、から拭きでほこりを取り除く。

トラッキング現象での発火イメージ

また、室内機のフィルターにほこりがたまっていると、空気の通りが悪くなり機器の性能が落ちたり、カビが繁殖したりする要因となる。エアコンの効きが悪くなるだけでなく、電力を余分に使ってしまったり、過度な負荷がかかり劣化を促進させ故障を引き起こしたりするおそれもあるため、試運転時だけではなく小まめに掃除する。

エアコンのフィルターを確認

●室外機の上や前後など周辺に物を置いていないか、ドレンホースの排出口がふさがれていないか

室外機周辺の片付け、清掃も行なう。室外機の周囲に可燃物が置かれていると、可燃物が着火した際に室外機に燃え移り大きな火災に至るおそれがある。

他にも、ダンボールやごみなどを置いておくと、小動物や虫などのすみかとなり、やがて製品内部に入り込み配線をかじったり、電源基板に接触したりすることによって短絡して発火するおそれもあるため、可燃物を置かないように注意する。

室外機周辺に可燃物を置かないように注意する

また、ドレンホースの排出口がふさがれていると排水ができず、室内機からの水漏れを引き起こす原因となるため、排出口が詰まっていないか確認する。

ドレンホースの排出口がふさがれていないか確認する

●冷房運転をして冷風が出るか、異常が生じないか

設定可能な最低温度に設定し、冷房運転で冷風が出るかどうかを10分間試運転して確認を行なう。さらに30分ほど運転して、以下のような異常がないか確認する。

  • 室内機から水漏れがないか
  • 室内機や室外機から異音・異臭(焦げ臭いにおい)がないか
  • エラー表示がないか、意図せず電源が落ちないか

異常を放置したまま使用を続けてしまうと、事故につながるおそれがあるため、もし異常が確認された場合には販売店やメーカーに相談し、必要に応じて点検を受けるよう呼びかけている。