美味しく「手抜き」クッキング

第139回

梅雨~夏はお弁当が心配 傷みにくくするコツは?

気温が高くなる季節のお弁当作りのポイントをご紹介します

気温が高い季節は、お弁当が傷まないか心配になるかと思います。今回は「傷みにくいお弁当作り」についてご紹介します。ただし、注意してお弁当を作っても、状況によって傷む可能性はありますので、食べるときに味や匂いに異変を感じたら食べないようにしてください。

お弁当が傷むのを避けるポイント

食品が傷む理由は、微生物が付着して増えることで食品の成分が分解され、別のものに変わってしまうからです。微生物が増えやすい条件は、適度な温度と水分です。お弁当が傷むのを避けるためには、原因となる微生物を「つけない・やっつける・ふやさない」の3つがポイントです。

ポイント1「つけない」ために

微生物は目には見えませんが、空気中、調理台の上、水回り、人の手など、ありとあらゆる場所にいます。作ってから数時間後に食べるお弁当は、普段の調理よりも注意したいものです。

<つけないポイント>

  • 手はよく洗う
  • 清潔な調理器具、お弁当箱を使う
  • おかずを詰めるときは、菜箸や手袋を使う
お弁当箱は清潔なものを使用し、微生物をつけないようにします
手袋や菜箸などを利用し、食品に直接手が触れないようにしておかずを詰めます

ポイント2「やっつける」ために

食中毒の原因となる微生物は加熱に弱いものが多いため、「やっつける」ためには中心部まで火をしっかりと通します。食材を小さく切り、火の通りをよくすることも方法の一つです。

卵焼きを切り分けて中心部が半熟だった場合は、レンジで再加熱して火を通しましょう。半熟のゆで卵も傷む原因になるため注意します。作り置きのおかずは、再加熱して冷ましてからお弁当箱に詰めます。

<やっつけるポイント>

  • 中心部を75℃以上にして1分以上加熱する
  • お弁当の定番の卵焼きやゆで卵の半熟状態には注意する
  • 作り置きのおかずは再加熱する
中心部までしっかりと加熱します

ポイント3「ふやさない」ために

微生物が増えやすい温度帯のほか、蒸気がこもるのを避けるために、お弁当箱に詰める前におかずをしっかりと冷まします。また、水気や汁気のあるおかずの水分はしっかりと切りましょう。

また、混ぜごはんは具がある分、白ごはんよりも微生物が増えやすい傾向があるため、気温が高い時期は避けるのがおすすめ。微生物が増えにくい環境にするため、梅干しや酢、抗菌シートを利用するほか、保冷して持ち運ぶことも方法の一つです。

<ふやさないポイント>

  • ごはんやおかずは弁当箱に詰める前に冷ます
  • 水気や汁気はできる限り切る
  • 混ぜごはんはできるだけ避ける(特に夏場)
  • 梅干し、酢、お弁当用抗菌シートを利用する
  • 持ち運ぶときは保冷する
持ち運ぶときは保冷剤を活用しましょう

ごはんの冷まし方

ごはんを冷ますときは、炊き立てをしゃもじで混ぜ、適度に蒸気を飛ばします。お皿などに広げ、ふんわりとラップをかぶせておき、粗熱が取れたらお弁当箱に詰めましょう。

炊き立てのごはんをお弁当箱に詰めると、蒸気がこもってベチャベチャするほか、傷みの原因になります。一方で、水分が蒸発しすぎるとパサつく原因にもなるため、パサつかないようにラップをして粗熱を取ります。

ごはんを平らに広げると冷めやすいです

おかずの冷まし方

調理したおかずはバットや皿などに大きく広げ、保冷剤を皿の下などに置いて冷まします。卵焼きは、切ってから冷ますと早く温度が下がります。汁気の多いおかずはザルの上で冷ますほか、バットや皿を斜めにして冷ますと下部に汁気が溜まるため、汁気を切りやすくなります。

下から保冷剤で冷やすと早く冷めます

生野菜や果物を使うとき

葉物野菜やカットしたキュウリなどの生野菜は、ほかのおかずに触れると、塩分によって野菜から水分が出てしまいます。野菜から染み出た水分は傷む原因になるため、特に夏場であれば生野菜は避けたほうがいいでしょう。

生野菜の中でも、ミニトマトは皮がしっかりとしているため、おかずに触れても水分が出にくく使いやすい野菜です。しかしヘタは傷みやすいため、ヘタを除いてよく洗い、ペーパータオルで水気を拭いてからお弁当箱に詰めましょう。

果物を持っていきたい場合は別容器に入れ、保冷剤でしっかりと冷やして持ち歩きます。

トマトはヘタを取ってよく洗い、水気を拭き取ります
じゅん

チョコレートと漬物が好きな管理栄養士です。現在、子育てに奮闘中。体力の衰えを感じながら、子どもと公園を走り回っています。家事の効率化とシンプルライフを目指して、日々の生活を見直し中です。