老師オグチの家電カンフー

暗闇ボクシング×扇風機でサウナ以上の爆汗体験

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
「b-monster恵比寿スタジオ」。写真よりも実際はもっと暗く感じる

シャークニンジャの広報さんから、「運動は好きですか?」と問われ「むしろ嫌いです」と即答した私に、スポーツイベントの案内が来ました。暗闇ボクシングと同社の扇風機とのコラボイベントだそうで、なんだか分からないが面白そうかもと思い参加してみました。

訪れたのは、渋谷区にある「b-monster恵比寿スタジオ」。b-monsterは暗い空間に音楽を爆音で流し、インストラクター(同社ではパフォーマーと呼ばれる)が参加者を盛り上げる「暗闇ボクシング・フィットネス」で知られるスタジオです。

ロッカールームでウェアに着替え、薄暗いスタジオに入ると、ボックスマスターと呼ばれるマシンがずらっと並んでいます。ボックスマスターはドラムセットのようにいくつかのパーツ(パッド)で構成され、それぞれに1、2、3……と数字が振られており、「ああ、指示された数字に合わせて叩いていくんだな」と理解。そして、ボックスマスターの合間には、シャークニンジャのコードレスファン「Shark FlexBreeze」が置かれています。本来はちょっと蒸し暑そうなスタジオの中で、涼みながらエクササイズのレクチャーを聞き、いざ体験会がスタート。

ボクシングの元世界チャンピオンが考案した「ボックスマスター」。ドラムセットのように複数のパッドで構成されている
ボックスマスターの合間に設置された「Shark FlexBreeze」

音楽がスタートし、レーザー光線がスタジオ内に放たれる中、パフォーマーの指示に合わせて、ジャブ、クロス、とパンチを繰り出していきます(実際はぎこちなく手を前に伸ばしているだけですが)。パッドの数字とあわせて指示されますし、目の前のパフォーマーの動きも見られるので、難しくはありません。どこか格闘ゲームっぽいというか、「太鼓の達人」をプレイしているような感覚です。

しかし、当たり前ですが運動量は段違いですし、パンチだけでなく、その場でジャンプしたり走ったり、かけ声を出したり、片時も休むヒマはありません。そして、ときおり「Shark FlexBreeze」のファン部分を持ったパフォーマーがやってきては、風を当ててくれ、一瞬は涼しくてありがたいなぁと思うものの、「連打、連打!」と煽ってくるんです。

コードレスで作動するファン部分を持ったパフォーマーが、風を当てながら煽ってくる

大音量の音楽とパフォーマーの煽りとで、ヘロヘロになって動いているのは、かなりブザマな見た目のはずですが、周囲は暗いし、他の参加者も他人を見ている余裕はなかったでしょう。

ここ10年は経験しなかった運動量で、パンツの中に流れ込んでいくのが分かるほど大量の汗をかきます。パンチからパンツへ。そして、徐々に体が慣れてきたのか、パンチの動きも最初よりは若干スムーズになっています。弱々しい猫パンチには違いありませんが、暗闇でもあり、華麗にパンチが決まっていると脳内補正されやすい。すでに脳内に回る酸素が足りなかったのかもしれません。街中で輩に絡まれた際にも、ワンチャン倒せるんじゃないかという妄想すら起きましたね。

ここまで来ると、もはや扇風機の存在は忘れています。始める前は、途中でバテてへたり込んでしまうんじゃないかという懸念もありましたが、「Shark FlexBreeze」が陰から風を送り続けてくれたからこそ、35分のエクササイズを乗り切れたのかもしれません。

暗闇ボクシング×扇風機の特別プログラムは、b-monster恵比寿スタジオで6月21日(土)、28日(土)に実施されます。気になる方は、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

一応やりきった感の顔。汗だくになるのはサウナも同じですが、自分で体を動かした汗はまた別の充実感があります
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>